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2007年 11月 12日
しょぼくれたヒーローと黒い娼婦の心を射抜くような微笑
![]() MONALISA 86年イギリス 監督―ニール・ジョーダン 脚本―ニール・ジョーダン モナリザのように謎めいた彼女の微笑 ルームミラー越しに見える彼女の視線の先には キングスロードの娼婦とポン引きの俗悪な世界。 彼女は黒人の娼婦、彼には白い羽の天使。 恋に落ちた、中年のチンピラのやるせないほどの純愛 これは不恰好な主人公のハードボイルド 高校生の時に課題製作をしつつ 深夜に映画を見るのが楽しみだったの。 このモナリザが放送していて、 手を止め、ずっと見入ってしまったの。 自分が求めている映画がここにあると 眠れなくなったの。 20年近く経っても、 いまだにニールジョーダン監督が一番好き。 当時はまだ日本はバブル。 逆にイギリスでは長引く不況にあえいでいた時期だと思うの。 チャンネル4というテレビ局が低予算の上質な映画を作っており、 それは良い映画ばかりだったの。 この映画の主人公ジョージはデブハゲチビ(失礼)で 刑務所出立ての中年のチンピラで、ボブホスキンスが演じて いるのだけれど、しょぼくて無教養で野卑な男。 でもね、最後にはものすっごく格好良く見えてしまうの。 粋で純粋な最高のヒーローなの。 ジョージの親友トーマスはデブでミステリーマニア。 要はおたくのデブ、でもうざいタイプではなく信用おける好人物。 ジョージと二人の会話がウィットに富んでいてとても素敵。 ボスの代わりにに刑務所に入っていたジョージが 出所後もらった仕事が黒人の高級娼婦の送迎。 最初は娼婦をバカにし、お互い毛嫌いしていたのに 友情が芽生えてゆく。 彼女は探している。 彼女はキングスロードの立ちんぼから離れられ リッツなどで要人相手に商売をしているが まだ、どこかでひどい商売をしている仲の良い少女の行方を。 シモーヌはとても美しく(このパッパケージ画像では全然魅力が伝わりませんが) 気品があり、娼婦なので、半裸で拘束具付けてても なぜか下品にならないの。 ボブホスキンス恰好良すぎて、この役で カンヌ・全米映画評論家協会賞・ ニューヨーク評論家協会賞・ロサンゼルス評論家協会賞・ ゴールデングローブ賞で主演男優賞を受賞しています。 また、アカデミーにもノミネート。 スーパーマリオの実写版でマリオやっていた(そっくり) 方でもあります。わい! ニールジョーダン映画の好きな順位は1、スターダスト 2、モナリザ 3、クライングゲーム 4、プルートで朝食を ・・・と続いてゆきます。 ゆっくり始まって、スピードのある展開に、 何もかも奪ってゆく激しいエンディングへ、 そして小さな福音は残る。 そんなニールジョーダン的志向が存分に味わえる映画。 素敵なあの子と初めて行った映画は プルートで朝食を 私は月まで連れて行って欲しい 2007年 04月 17日
夏の日の夕暮れ 家であの人が待っている ジャスミンの香りがする
![]() Summer Breeze 95 シールズ&クロフツ 初夏の香りがする。 ジャスミンの咲く頃に、あたしは必ずシールズ&クロフツの サマーブリーズを聞く。 テキサス出身の彼らの歌う世界の、いなたく 土臭い労働者階級の世界に浸ると幸福感を感じるから。 ![]() シールズ&クロフツは、 ジム・シールズ(1941年10月17日テキサスシドニー生まれ)と ダッシュ(本名ダレル)・クロフツ (1940年8月14日テキサス州シスコ生まれ)が 中学で出会うところからはじまる。 クロフツがひとつ上の先輩で、中学ですでにドラマーであり歌手、 シールズは9歳でテキサス州のバイオリン・コンテストで優勝していた。 シールズの、石油パイプ配管工の父親は 元ミュージシャンで、アーネスト・タブ&ザ・テキサスや ボブ・ウィルズ&ザ・テキサス・プレイボーイズなどの カントリー・バンドでギターやベース担当。 弟のダン・シールズもイングランド・ダンという 有名ミュージシャン。 彼らは1958年『テキーラ』で同年のグラミー賞ベスト・R&Bパフォーマンスを受賞、 インストバンド ザ・チャンプス(The Champs) に加入。 クロフツが兵役に取られたり、チャンプスが解散したり、 スタジオ・ミュージシャンなどを経て 1969年シールズ&クロフツとしてTAレーベルよりデビュー。 1972年、4枚目のアルバムサマーブリーズで、大ヒット。 ![]() でも、1974年に反妊娠中絶を主張するアルバム Unborn Child で中絶賛成派からの攻撃の的になり ファンが離れ、ヒットにも恵まれずに80年には解散してしまった。 二人とも69年に入った宗教団体の活動が 盛んになったようで、 布教のためそれぞれ世界各地に移り住んでいる。 現在はクロフツはアメリカに、 シールズは中米コスタリカでコーヒー農園を経営してんだって。 あたしは西部の荒くれなイカス奴らだと思ってたから 宗教じみた人たちでガッカリしたのだけれど サマーブリーズに描かれるのはとても幸福な日常。 疲れて帰ってきた労働者が、 「カーテンの掛かっている窓。 夕暮れ時の金曜日。 小さな明かりが灯る窓。 そう何もかも大丈夫。」 と、ジャスミンのかぐわしい香りがあたり一面を 漂っている夏の風の中で自分の家の灯りを確認するの。 「今日も大変だった。 でもそこに君が待っているから そんなの構わないんだ。」 「微笑が待っているキッチン、 二人分の料理ができている。 君が見える そして俺に抱きつく。 夕暮れのひととき 一日の終わり。」 それは本当に幸せな光景・・ ジャスミンの香りの夕暮れ、あの夏の日 あたしはこの世界に入りこみたい この世界でいたい Summer breeze makes me feel fine, blowing through the jasmine in my mind 口ずさむあのメロディ。 もうすぐ初夏。 あの素敵な夏の風の夕暮れがあたしを浸す。 早く早く優しい微笑のあの子の待つ家に帰りたい。 2007年 03月 17日
やきもの狂いはオレンジに恋焦がれるのと瓜二つ
![]() Utz ブルース・チャトウィン 訳 池内 紀 1988 文藝春秋(絶版) 映画、マイセン幻影の画像を探していた時、 今更にして原作の存在を知ったの。 絶版だったので、古書を手に入れて 今、読み終えたのだけれど・・・ ため息ばかりが漏れるの。 激しい恋をしたときと同じなの。 あたしは本を読むのが早いほうなんだけれど もったいなくってもったいなっくって 読み終えたくなくってページが終わりに近づくのが 怖かったわ。 マイセンに魅せられた男爵のお話よ。 話は、以前書いた映画と寸分たがわないのだけれど これがなんとも・・素敵なの! 軍事政権でゴリゴリなチェコにおいて ウッツ男爵は出国もなんとか出来る立場なのに マイセンを蒐集しているので、外国に出ても また戻ってきてしまうの。 語り部にウッツ男爵が言う 部分があるのだけれど ~午後の散歩の際に彼が話してくれたところによると、 チェコはきわめて住みよい国である ー出ていく可能性をもってさえいれば。 と同時に彼は皮肉な微笑とともに言ったのだ。 陶磁器への病いが、ここを永久に去らしてくれない。 集めた当人がそのコレクションの囚われびと。 「私の人生をダメにした張本人でありましてね!」~ ![]() 作家、Bruce Chatwin(1940-89)は イギリス、シェフィールド生まれ。 サンデー・タイムズの特派員を経て、 39歳より作家活動を始める。 遅咲きながらすごく信奉者の多い作家みたいですね。 旅行記作家としてデビューなのね。 その代表作パタゴニア。 ![]() 旅する人生だったけれど、 最後の中国で病を得て、48歳の若さで この世を去ってしまった。 エイズだったよう。 あの忌まわしい黒死病は何人の素晴らしい 才能を奪ってゆくのかしら。 かなりハンサムな人で、彼を知っている人が 口々に言うにはチャーミングな人だったのですって。 池澤夏樹が又聞きしたのの又聞きだけど。 彼の著作で翻訳されているものが6冊、内5冊が絶版。 あたしが恋してやまないこの素敵な本を絶版にしなくては ならない世を恨みつつ、でもこうやって情報がすぐ手に入り 出費を我慢すれば(とても欲しいポールセルーとの共著の パタゴニア再びとかは1400円台が15000円になってたりはしますが) なんでも手に入る、この時代は素晴らしいとも思う矛盾を 日々感じております。 ちなみにこの本は900円で良品が手に入ったので、 入手困難ではないです。 実際に男爵は存在し、2001年に遺族により 幻のコレクションが発見され2002年にサザビーの オークションに出品されたようです。 チャトウインの死後なので、彼が知ったら どう感じたかしら。 ![]() 物語に執拗に心を撃ちぬかれ 大隈講堂の美しい景色のテラスであの子に 本のフレーズを読んで聞かせるあたしも、 世界が美しいと妄信的に信じこみ、 人生という長い旅に恋焦がれる物狂いの一人です。 2007年 03月 07日
味わい深い愛 甘い果実 心は 人の裏庭
![]() The Brasil Project 92 トゥーツ・シールマンス トゥーツは最高なの! 92年発売時に買ったのだけれど、 それから15年たっても恋しているアルバム。 イヴァンリンス、ジャヴァン、ドリィカイミ、ジョアンボスコ、 ジルベルトジル、ルイスボンファ、 カエターノ 最高な人たちと最高なトゥーツ ツゥーツの本名は Jean-Baptiste Thielemans (ジャン・バプティスト・シールマンス) 1922年4月29日、ベルギーの首都ブリュッセル生まれ。 Tootsというのはハーモニカをトゥーッと吹き鳴らすとこからきた 愛称ですって、可愛いわ。 子供の頃からアコーディオン弾き、 16、17歳の時にハーモニカに転向。 次にジャンゴ・ラインハルトに影響され、 19歳でジャズ・ギターを始めたのですって。 やっぱジャンゴは偉大だったのね、 沢山のミュージシャンの憧れよね。 47年にアメリカへ移住すると、 ベニー・グッドマン楽団にレギュラー加入。 ギターと口笛によるオリジナル曲「ブルーゼット」を'62年にヒットさせた。 このアルバムでも、素敵なミュージシャンがかわるがわる演奏しているの。 トゥーツは『セサミ・ストリート』のテーマの作曲者としても 有名よね。 サウンドトラックを引き受けた『真夜中のカウボーイ』・・・ 偉業は書ききれないけれど、 とにかくこのアルバムは素敵。 ぜひ聞いてほしいわ。 私の曲と勝手に思っている、「甘い果実」 本当に円熟した濃厚ないい匂いがする曲、 ハーモニカって濃厚にもなるのね。 あの子の好きなミルトンナッシュメントが 素敵にスキャットし、最後に歌うの 味わい深い愛 甘い果実 心は 人の裏庭 あたしの大好きなカエターノと「移り気な心」 青春の匂いや男の子の綺麗な残酷さで 大好きな曲を素敵な二人が奏でるの。 カルナヴァルの朝をボンファが少し憂鬱に ギターでつま弾いて、トゥーツと共に。 これはもう、やばい出来なのよ。 ![]() このアルバムを聴いて大学時代に買った ホフナーのハーモニカが昨日あたしの手元に戻ったの。 あの子にハーモニカをあげて、トゥーツを聞いてもらい 素敵なハーモニカを演奏してもらおうと 画策してみたところ。 2007年 03月 05日
私を呼ぶ声が聞こえた気がする
![]() Cuddle Up With... 03年アメリカ (70/74 の編集) クロディーヌ・ロンジェ 素敵なウィスパーボイスの可愛い女の子は 夢のような結婚をするけれど、破綻、 その後、スキーヤーを撃ち殺してしまった。 彼女は、偶然出会った有名人の アンディ・ウィリアムスと恋に落ちて結婚。 夢みたいな毎日。 偶然、彼女の歌声を聞いた ハーブ・アルパート(A&Mレコード)が 契約を彼女に申し入れ 素敵なレコードができたのね。 このアルバムは有名なA&M時代ではなく マイナーなバーナビー時代の アルバム中心の再編成なの。 このブログの題名のBroomstick Cowboyはこの アルバムにも入っているのだけれど、元曲は ボビー・ゴールズボロで、カントリー。 でもクロディーヌが歌うとなんて可愛いんでしょ。 これには入ってないけれど スリープ・セイフ・アンド・ウォームって曲が 大好きなのだけれど、 ローズマリーの赤ちゃんのテーマ曲で、 優しくって綺麗な子守歌なの。 ただ悲劇に近い曲に思う。 ローズマリーの赤ちゃんの監督の ポランスキーの奥さん、シャロン・テートは あの悲惨な事件(チャールズマンソン事件) によって身重なのに惨殺されてしまった。 チャールズマンソンはヒッピー時代、 デニス・ウィルソンと友好的な繋がりがあり、 マンソンが 事件を起こすことになったのも、 デニスらの家を使わせてもらえなかったから。 デニス・ウィルソンは溺死。(あたしは自殺に近く感じる) ビーチボーイズの特集番組で デニスのガールフレンドが 死ぬ前からあの人はもう心が死んでいたのよ。 って言ってたのが忘れらないわ。 このアルバムにもビーチボーイズの ゴット・オンリーノーズが入っているの。 ローズマリーの赤ちゃんを撮影したのは ジョンレノンの暗殺されたダコタ・ハウス。 悪い連鎖。 陰鬱な話になっちゃったけれど、 日曜日の日差しの翳る頃みたいに ゆったりとしたちょっと影のある このアルバム。 原版が悪いのか、 Mucho Tiempo Masって曲が ぼよよ~んって音が伸びるのが ノスタルジックで良い雰囲気なんですよ。 ![]() あのささやき声は永遠に耳から離れない。 短い美しい幻。 あたしもあの子に言う。 ゆっくりお眠りなさいね。 ここは安全であたたかだから、と
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